先日、三陸方面の視察で訪れた気仙沼。
一泊した朝に、少し早起きをして、事前に友人に情報をもらっていた喫茶店にひとりで行ってみる事にした。
ヴァンガードという。
市の中心部にある喫茶店は、朝7時半からやっているとのこと。
生憎の雨だったが、宿から歩いて出かける。
店構え。なんとも趣のある佇まい。
こういう寸景を大事にできるまちでありたいものだ、と思った。
津波の被害は間違いなくあっただろうが、それを感じさせない雰囲気がある。
8時少し前に店に入った時点で、他に2人の先客がいた。
一人はスーツ姿の男性、サラリーマン風。もう一人は若い女性で、こちらもこれから出勤と思しき様子。
ブレンドコーヒーが260円。大きいサイズでも330円。
大きいイサイズを頼み、落ち着いた静かな店の雰囲気の中、待つ。
店主は、ひとりランチの仕込みのためだろうか、カウンター表に背を向けて、コトコトと野菜を切っている。
私の頼んだコーヒーは、サイフォンでポコポコと音をたてていて、いい香りが漂う。
折り込み部分のあるテーブル、革張りのイス。店のロゴの入った灰皿。
そして、ちょっと曲面のついたカウンターテーブルと、大きめのスピーカー。
ジャズピアノが流れる店内でコーヒーを飲みながら過ごす朝の時間は格別だった。
ほどなくすると、女性が会計を済ませて店を出て行く。
女性は「それじゃ、行ってきます」という。
店主は「いってらっしゃい」と送り出す。
常連なのだろう。
町の普段の姿を垣間見えて、なんだか少し嬉しくなった。
そして、そういう朝の時間の過ごし方が、とても豊かに思えた。
格別。特別。私にとってはそういう時間が流れる。
しかし、町の人々にとっては、普段の時間。
でも、もしかしたら、ちょっと特別な時間を作り出しているのかもしれない。
こういうそれぞれの視点や価値の交差する場所・時間が面白い。
「普段着のまち」が垣間見える瞬間が面白い。
旅の醍醐味ともいえると思う。
帰り際に、店内で流れている音楽の演奏者を尋ねると、CDジャケットを見せて教えてくれた。
「この人達は、10月にここでライブをやります。」と丁寧に付け加えてくれた。
(なんとなく、英語の教科書の例文みたいだ。)
定期的にライブも開催される喫茶店。素敵だ。
コーヒーはもちろん美味しかった。
他のメニューに目をやると、ランチなどの所謂コスパに驚く。
これは、今度はフードメニューを頼んでみたい。
嗚呼、朝以外の風景も見てみたい。もちろん、また朝にも来てみたいけど。
そんな欲張りな事を考え出すと、もうその店の虜。
忘れじのヴァンガード、となった。
また、再び訪れたい店が増えてしまった。
今夜もSo Whatで。
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