2016年2月10日水曜日

読書記:震災と復興を考えるための80冊、はじめます。

あと一ヶ月ほどで、東日本大震災から5年が過ぎる。

 「一日も早い復興」を目指したあれから、何が変わったか。
 そもそも、復興とはなにか。

 
 震災からこれまでに、様々な記録やまたは過去の災害や復興をふりかえる書籍、復興計画への提言といえるものなどが多数出版された。
 ここでは、私がこれまでに読んできた本、これを期に読む本を全部含めて紹介したい。リストを作成していたら80冊ほどになってしまった。
 これから3月にかけて、少しづつではあるがアップして行く予定だ。いや、もしかしたら5月くらいまでかかるかもしれない。そこは「放浪記」だけに、ご容赦を。
 
 参考程度にでもなれば幸いである。


 では、さっそく。一冊目を。

震災と復興を考えるための80冊:01「地震の日本史」寒川旭(2007.11)




 日本の歴史は地震の歴史。
 「地震考古学」を確立した著者による地震の歴史から読みとく日本史。
   時系列、時代ごとに地震の記録が展開されている。

 本書のあとがきにはこんな印象的な言葉がある。
“それにしても、私たちの祖先たちは、なんと多くの地震に悩まされてきたことであろうか。だが、地震がなければ、日本という島々が存在しないこともまた事実である。プレートの変動がこの列島を形成し、活断層が起伏に富んだ美しい地形を創り、地盤運動で沈降し続ける広い空間に砂や粘土が堆積して東京・大阪・名古屋などの大都会が発達した。” 
“私たちの国で暮らし続けるためには、地震との共存は避けて通れない。このためには、過去の地震から多くの知識と教訓を得る事が大切である。”
 日本は地殻変動によって造られた島国。
 プレートのぶつかり合いで沈み込み、圧縮されて細長く盛り上がったのが日本列島である。
 
 この本を読み進めると、縄文〜安土桃山時代に至るまでの地震の記録と解説が延々と続く印象が。本書のページの約半分が江戸以前である。
 そもそも、江戸時代からこれまで、たかだか400年の歴史なのだ。
 液状化や噴砂、崩落の後などが古墳や遺跡等に残されているとのことだが、克明な記録が残る地震と津波は、やはり平安時代の貞観地震だった模様。
 その後、鎌倉時代にも何度も津波の被害に遭っている記録が残っている。
 
 また、 2011年増補版のための補稿部分で、筆者は九世紀の地震活動と現在(主に阪神淡路大震災以降)の日本列島との共通点の多さを指摘している。 
 
 
 ちなみに、ではあるが。

 その2011年に再版された本書の帯にはこうある。

 「平安時代に起きた東北巨大地震の18年後には、南海大地震が起きている」


  「天災は忘れた頃にやってくる」
とは寺田寅彦の言葉としてあまりにも有名である。